フリークライミング
若月稜斗
山行概要
日時:2026年3月21日~22日
メンバー:若月、堀(現役3年)、前嶋(現役3年)
記録
長年、鳳来でルート開拓をされてきたカッチンさんから、天空エリアのプロジェクトのお話を頂きました。
プロジェクトとは、「誰かが設定したクライミングルートが、まだ初登(RP)されていない状態」のことです。
初登は、最初にそのルートを整備した人に強い優先権があり、その人がRPするまでは、他の人はそのルートを触らないのが暗黙の了解です。
本プロジェクトもカッチンさんが長年トライされてきたものですが、カッチンさんも今年で70歳。
天空エリアへの道のりは長く険しく、アプローチが年々厳しくなり、ついに数年前、プロジェクトを諦める決断をしたとのことでした。
カッチンさんの心境は推し量るに余りあるものがありますが、未登のラインというのは何だかワクワクするもの。
2年前、天空エリアに一緒に行った堀,前嶋に付き合ってもらい、プロジェクトをトライしてきました。
3月21日 晴れ
3月22日 晴れ→くもり
ルート名はカッチンさんの中では決まっていたようで、「萬屋(よろずや)」 となりました。
色んな傾斜が出てくるのが名前の由来とのこと。非常に美しく、ムーブも面白いラインなので、たくさん登られることを願ってます!
まとめ
1週間後、カッチンさん宅にお酒を持って、完登報告へ行ってきました。 複雑な心境だったとは思いますが、「ワッキーが登ってくれて良かったよ」と言ってもらえて一安心。 タラの芽を酒の肴に、天空エリアの歴史や、当時のトライの様子なんかを語らいました。
天空エリアの開拓開始は2008年1月。 今回初登した「萬屋」は同年3月には既に設定されており、ほとんど最初期の作品のようです。 弱点を突いた合理的なラインで、終了点は大きなテラスなので、真っ先にボルトを打ちたくなったのでしょう。 ちなみに天空エリア最初の課題は「ホワイトライン」、今回堀と前嶋を撃退した「臥龍梅」は2011年11月に初登されています。
こういった話を聞いていると、岩場にも歴史があるのだと感じます。 でも、岩は偶然そこに在っただけで、特別な意味を見出すのはクライマーの方なので、結局はそこに集まる人の歴史なんだと思います。 岩は誰に対しても平等・不変で、時に残酷だと感じることもありますが、だからこそ世代や国境を越えた交流が生まれる。 人を引き付ける引力のような、不思議な魅力があると思います。
さて、改めて萬屋についててですが、細かい垂壁→クレーターの底でレスト→ハング越えという構成です。 前半の垂壁が5.11中盤くらい、最後のハング越えがボルダー2級くらいに感じ、体感5.12dとしました。 ちなみに自分以外にナギさんも萬屋をトライしており、やはり最後の核心は2級程度に感じたとのこと。 細かいグレードは再登者待ちですが、5.12後半に落ち着くのではないでしょうか。
いずれにしても質の高いルートなので、いつまでも天空に在り続けて、多くの人にトライされてほしい一本です。 クライミングショウや猫杓、THC、日陰童子など、鳳来の名作5.12はけっこう登ってきましたが、それら有名ルートと比べても遜色ないクオリティに感じました。
素晴らしい機会をくれたカッチンさんに心から感謝します!