現役交流
平成9年理学部卒 真達 慶次郎
山行概要
日時:2025年3月20日~22日
メンバー:真達 慶次郎 ほか学生2名
行程:
- 20日:大谷原ゲート駐車場(11:35)→一ノ沢ノ頭(16:05)
- 21日:一ノ沢ノ頭(5:40)→鹿島槍北峰(14:25)→北峰・南峰のコル(15:00)
- 22日:北峰・南峰のコル(6:10)→鹿島槍南峰(6:55)→大谷原ゲート駐車場(14:35)
記録
今シーズンの雪山は、12月の学生への雪上訓練から始まり、八ヶ岳での堀、菅原への冬期クライミングの特訓と、例年になく学生と一緒に登らせてもらいました。
今回は特訓の総仕上げとして、小手先の技術ではなく、冬の3000m級の山を登るために必要な技術、体力、耐力など総合力の何たるかを感じてもらえればと、北アルプスの名クラシックルートである鹿島槍ケ岳の東尾根を登ってきました。
今回も堀と菅原の2人。
朝、静岡を始発電車で出発してもらい、中央道から最も近い身延線の駅で2人を拾ってきた関係で、登山口に到着したのは昼近くになってしまいました。
先日は、この2人を含む4名で、大唐松尾根からの白根三山の縦走を果たしたそうです。
ここ最近、母校の山岳部では活動が停滞していましたが、冬の3000mの縦走は久しぶりで、OB年として嬉しい限りです。
林道を少し歩いて、適当なところで尾根に取り付きます。
稜線に出ると残念ながら?トレースに合流。
「先行パーティーが居たか・・あっさり登れてしまうじゃん!」
と、この時は思いました。。
隣の天狗尾根と荒沢奥壁。
突然、天狗尾根から、
「アワワワ~」
と、インディアンコールが聞こえ、同日に天狗尾根を登っている大井からのものでした。
こちらからもインディアンコールを返し、エールの交換をしました。
あまりの絶景にしばし、入口を前回にしたまま晩飯の準備。(ちと寒いですが・・)
本日の晩飯はペンネにレトルトソース。少しお酒もいただいて、7時に就寝しました。
少し歩くと、先行パーティーが見え、どんどん近づきます。
菅原は疲れ気味だったので、今日は堀と私で交互にラッセルしました。
最初の核心、第一岩峰。
育成のため堀にトップを任せます。
続いて第二岩峰。
ここも堀に行くか尋ねましたが、
「・・お願いします!」
との返答。
よし、任せなさい!
重荷を背負ったままのクライミングに苦労しましたが、何とか突破しました。
スタンディングアックスビレイで2人を上げます。
隣の爺ヶ岳は晴れてそうなのに、こっちはお日様が隠れ寒い・・
ここからはゴーゴー爆風が吹き荒れる山頂目指してラッセル。
その後、再び先頭でラッセルをしていると、突然ロープが引かれ、振り向くと2人の姿がない・・?
雪庇が崩壊し、2人揃って落ちてしまいました。
まずは菅原が自力で這い上がってきました。
続いて堀も。
ちなみに同じ場所を先に私が歩いていました。。
少しでもラッセルが浅い場所を求めて、雪庇に近づき過ぎてしまったと反省・・
山頂が近づくと爆風、地吹雪。
気がついたら、一番高い場所に着き、思わず。
「着いたどー!」
と叫びました。
さっと記念写真を撮って南峰目指して下降。
爆風、地吹雪、ホワイトアウト。
まともに前が見られず、地面とガスとの区別もつかずで、慎重に下降しました。
南峰とのコル付近に爆風をしのげる場所があり、南峰への登り返しに備えて休憩。
レーションをばくばく食べていたら、2人から、
「あのー、ここでテント張りませんか・・?」
と、今日は冷池付近まで行ければと思っていましたが、この先は更なる爆風地帯。2人ともだいぶ疲れている感じで、少し早いですが、ここをテン場にしました。
テントはクライミングのロープ、スリング総動員でガチガチに固定。
ちなみに晩飯は今夜もペンネ。ペンネ好きの学生です。(笑)
最近は米をあまり炊かないそうで、ちょっと寂しい?
今宵は特訓最後の夜でしたが、状況が状況なので、お酒は少しにしました。
翌朝。
爆風は相変わらずですが、スッキリ晴れてくれました。
南峰。
爆風が遮られる場所で一息つき、覚悟を決めて、さあ突っ込みます!
山頂。
ここはめっちゃ爆風。
この写真を撮るのに何度も風に倒され、何とか撮った1枚。
ある程度下ると、風は落ち着きひと安心。景色を堪能する余裕も生まれました。
剱岳上空には爆風を意味するレンズ雲。
慎重に雪質を見極めて、トラバース開始。
雪面になるべく刺激を与えないよう、離れて行動しました。
赤岩尾根を登って来られた方に東尾根をバックに撮っていただきました!
ここからはトレースを辿るだけ。
ロープもアイゼンも外し、身軽になって下山。
まとめ
今回の山行は2人から、
「岩峰の難しさ、稜線での爆風、ラッセル、いろんなことが過去一番を更新しました。」
と、言ってもらえ、雪山特訓の最終章にふさわしい、濃い登山ができました。
4月から2人は3年生です。
これから上級生となる2人に、この冬、雪山に登るためのしっかりしたスキルが身につくよう指導してきましたが、ちょっと厳し過ぎるかな?と思えるような辛い場面のときも、2人ともしっかりと耐え、常に明るく、元気で、一緒に登っていて、安心感があり、とても楽しかったです。
これから2人が中心となって、山岳部を引っ張って行くことになると思いますが、この冬の経験を生かし、熱い山行記録を読まさせてもらえる日が来ることを楽しみにしています。
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