学生雪山特訓(八ヶ岳 南沢小滝・大滝~阿弥陀岳北稜)

現役交流

平成9年理学部卒 真達 慶次郎

山行概要

日時:2025年1月25日~26日

メンバー:真達 慶次郎 ほか学生2名

行程:

  • 25日:美濃戸口(7:30)→南沢小滝・大滝(9:00~16:30)→行者小屋(17:30)
  • 26日:行者小屋(6:45)→阿弥陀岳(9:30)→美濃戸口(12:35)

記録

先月、遠見尾根で学生山岳部の雪上訓練に同行し、雪山登山の練習をしてもらいましたが(詳細はhttps://suac-fuji.blogspot.com/2024/12/2024121415.html)、今回はその実践編で八ヶ岳へ行ってきました。

今回の計画は全て学生に任せ、初日は南沢小滝、大滝で氷を登る練習、2日目は阿弥陀岳の北稜を登るものとなりました。

1月25日(晴れ)

今回の学生は菅原と堀、2人とも大学2年生。成人式(成人のつどい?)を終えたばかりだそうです。

若い!!

まずは南沢小滝。

菅原はアイスクライミング2回目、堀は初めてなので、滝の下でアックスの打ち方、アイゼンの蹴り方の基本やコツを指導。

もっと腰を入れて、

足を開いて、

踵を落として、

などなど、

ひととおり基本を教えたあと、リードして滝の抜け口にスクリューで支点を作り、トップロープをセット。

さっきの基本を意識しながら登ってもらいます。

さすがに初めての登りはぎこちない。

何度も下からアドバイスしました。

(うるさい!?)

いい感じだね。

もうちょっと腰を入れて、上体を反らせて、振りを大きくかな?

基本の三角形登りの次は、カウンターバランス(ダイアゴナル)で。

こっちの方が登りやすいそうで、クライミングジムでの登りに慣れていると3点支持より、2点支持が身についているのかな?

菅原は、

「ちょっと気持ちが悪いっす・・」

とのことで、少し休んでもらい、堀にどんどん個人特訓。

続いてスクリューの打ち方です。

下で練習した後は、トップロープでスクリューを打ちながら登ってもらいました。

スクリューを連打しながら登る堀。

いいね!

で、半分冗談で、

「じゃ、リードしてみようか?」

と言ったら、

「はい!やります!」

と、

「えー?アイスクライミング初日でリードするの??」

と思いましたが、その意気込みを買って、チャレンジさせました。

で、順調に登って、隣の方からは、

「朝、来たときと登り方が全然違いますね!」

と誉めていただきました。

指導者がいいんだな!?(笑)

そして、ノーテンションで完登!

凄い!!

ちなみに回りに沢山いるのは千葉工業大学山岳部の方々。

「部員が急に沢山入って困ってます。」

と、うらやましい悩みです。

確かに装備を揃えるのは大変そうですが、うちとは違ってOB会からの多額の援助があるそうです。

今回の学生のアックスは若月から借りたもので、なんとか登ってます。

小滝はリードできたので、隣の大滝へ移動。

早速、トップロープを張りに行く真達ガイド。(笑)

小滝より氷が硬く、割れやすい感じでした。

早速、絶好調の堀がトライ。

さすがにこれは、長く、難しいみたいで、何度か落ちていましたが、

それでも何とかトップアウト。

菅原も気分が回復したのでトライ。

菅原も何度か落ちていましたが、

諦めずに何とか登りきりました。

2人ともよく頑張りました!

荷物をまとめ、行者小屋へ移動。

堀は半袖Tシャツ!?

一応、厳冬期の八ヶ岳なんだけど・・

ギリギリ明るいうちにたどり着きました。

テントは我が家のファミリー仕様。

広くて快適でした。

晩飯は学生に準備してもらい、ジンギスカン鍋です!

菅原は実家が北海道でヒグマの肉もいただきました!

(コンビーフならぬコンヒグマ?)

「若月さんから、真達さんはビールが好きと聞きまして、」

と北海道ビールもいただきました!

ありがとう!!

美味しく、料理とお酒を頂きながら、山岳部の悩みも聞き、今はロープを使うような冬山を指導できる先輩がいないようで、私でよかったらまた使ってください!

1月26日(晴れ)

翌朝。

明るくなって出発準備。

阿弥陀岳の北稜を目指します。

山岳部らしく、行者小屋からあえて北稜に向かって直登。

当然、なかなかのラッセル。

深いところでは、四つん這いになって、はいはいラッセル?を伝授。

コツをつかむと速いです。

樹林帯を抜けるとルートの全容が現れました。

阿弥陀岳の北稜は人気のライン。

お馬鹿なラッセルをこなすと、しっかりしたトレースに合流。

西からの風が強いので、第一岩峰の手前で稜線の東側に待避してロープの準備。

第一岩峰はコンテで越え、そのまま第二岩峰へ。

ここは先行パーティーで混んでいたので、そのままコンテで左から回り込み、

一気に2パーティーを追い越させてもらいました。

ちなみに両方ともガイドとお客さん2人のパーティーで、考えてみれば自分も2人を連れてガイドみたいなことをしているな、と思ってしまいました。

でも、お金は貰っていませんが、失礼ながら2人のガイドよりも楽しめて登っているように感じて、山は趣味としてやるのが、自分には合っていると思えました。

第二岩峰を抜け、山頂が近づくと不思議と風が穏やかに。

山頂!

写真を取っていただいて方から、

「凄いところから登ってきましたね。。」

と言われたので、

「ロープを着けているだけで、難しさは一般ルートと、そう変わらないですよ。」

と話していたら、学生から、

「第二岩峰の最後、結構難しかったです・・」

とツッコミ。

混雑回避でちょっと変なところから登ってしまったね。。(笑)

ともあれ、お疲れさまでした!

2人とも楽しんでくれたかな?

今日はちょっと風はありましたが、天気よく、気持ちよい登山ができました。

赤岳や回りの山々を眺めながら、のんびり下山しました。

まとめ

長年、山岳部を見ていると、流行り、廃りの波があり、今は流行りの時代だと感じています。でも廃れた時代に必要な技術の継承も途絶えてしまって(途絶えてよかった習慣もありますが・・笑)、今はロープを使った雪山を指導できる先輩がいないそうです。

ちゃんとした山岳部では、しっかりしたOBのコーチ陣がいて、継続的な技術的指導はもちろん、資金援助も潤沢なのでしょうが、弱小な我々のOB会ではなかなかそうは行きません。

今回の学生(菅原と堀)と私はちょうど30歳違い。完全に親子の年齢で、バリバリの若手OBではなく、こんな枯れかけの年寄りしか指導できないことに申し訳ない気持ちもありますが、長年の登山で得た技術や知識が、少しでも学生の役に立てばと思っています。

それに何より、学生との登山は、学生に戻った気分で楽しませてもらっていますので、学生さん、またよろしくお願いします!

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