南アルプス深南部 栗代川遡行~関の沢川下降

沢登り

若月 稜斗

山行概要

日時:2024/8/10~13

メンバー:大井、若月

行程:

  • 10日:栗代川出合[6:00]→取水堤防[8:55]→袖葉沢出合[9:28]→竜神の瀬戸(※雨天途中撤退)[13:35]→竜神の瀬戸入口[13:50]
  • 11日:幕営地[7:20]→竜神の瀬戸→倉沢/こっぱ沢二俣[9:40]→1450m二俣[15:30]
  • 12日:幕営地[7:40]→大無間山[11:00]→関の沢川1480m三俣[13:40]→田代沢出合[16:10]
  • 13日:幕営地[5:30]→宇洞沢出合[8:40]→大井川合流点[11:05]

行程概念図

記録

お盆連休で同期の大井と、南アルプス深南部・大無間山塊の沢を遡下降してきました。

出発前は不安定な天気に加え、南海トラフ地震の注意報まで発令され、どうなるやらでしたが…

栗代川を遡行して大無間山に登頂、関の沢川を下るという計画は無事に完遂でき、充実の4日間でした。

8月10日(晴れのち夕立)

入渓点の橋から見下ろす栗代川。

雨雲レーダーを見ていると、ここ数日は激しい夕立だったので、まずは増水していなくて一安心。

入渓点からしばらくは河原状。

ゴルジュ地形はあるものの、軽く泳ぐ程度でした。

入渓点から3時間ほどで取水堤防に到着。

栗代林道を下降し、この辺りから入渓する人も多いらしい?

直後の水路。

水量によっては苦労するようですが、今回は水流も弱く、ザックを背負ったまま泳ぎました。

一度開けて、柚葉沢出合。

その後は所々泳ぐものの、ロープを出すような難所は無く。

見事なゴルジュ地形を楽しみながら進みました。

「鶴ノ天」と呼ばれる名所。

少しだけ泳いで、滝左側のチムニーに取り付いて突破。

もうすぐ栗代川最強のゴルジュ「竜神の瀬戸」

穏やかな河原が広がりますが、嵐の前の静けさのようで、なんだか不気味でした。

時間もあるので、竜神の瀬戸に入っていきますが…

間もなく土砂降りに。

しばらく進みましたが、増水が怖くなり、結局ゴルジュの途中で撤退。

竜神の瀬戸の入り口まで戻り、左岸の平坦地に幕営しました。

8月11日(晴れのち夕立)

2日目朝。

再び竜神の瀬戸へ。

水路を泳ぐと、

いよいよゴルジュ最狭部。

まるで深南部の底へ潜っていくような感覚。

沢が右へ折れた先の廊下。

水路を泳いで、側壁をクラック沿いに小さく巻いて滝の上へ。

続いて栗代川の核心部と言われる、水流の強い釜。

ここは大井が飛び込み一発で水流を越え(お見事!)、バンド伝いに滝上へ抜けました。

竜神の瀬戸もこれで終わりかなーと思ったら、

もう1つ長い水路が。

水流はそれほど強くなく、気持ちよく泳いで突破。

水路の上はすぐにこっぱ沢の二俣。

ここで釣りながらのんびり大休止。

ある程度魚を確保し、さらに上流へ。

平凡な河原を歩いていくと、

栗代林道の合流点。

直後の滝は左岸から巻きました。

傾斜の増す沢を滝を巻きつつ遡行し、標高1450m付近、緩傾斜の二俣を2日目の幕営地としました。

8月12日(晴れのち夕立)

3日目朝。

なかなか雰囲気の良い幕営地だったので、写真を一枚。(狭くて寝心地は良くなかったが)

昨日に引き続き、水量の減った沢を詰めました。

立派な滝を越えると、

いかにも深南部らしい源頭に。

美しい水が延々と流れる光景に、何だか感動…

この水が一体どれほどの命を育んでいるのでしょうか。

コケの上からこんにちは!

(ハコネサンショウウオ?)

最後は笹薮を詰め、大無間山西側の稜線へ飛び出しました。

さらに登山道を1時間ほどで大無間山。

展望こそありませんが、素朴で良いピークでした。

山頂からは前無間(大無間山南の2300m小ピーク)まで移動し、

そこから東へ派生する尾根を下降。

途中、昔の杣人のものと思われる残置ワイヤーを発見しました(!)

尾根の末端部はルート取りが難しかったですが、最後は懸垂下降2回で関の沢川に降りられました。

そこから関の沢川を下降。

標高差1000mを登り下りした後なので、もうクタクタ。

しかも滝が多く、一筋縄では行かない…

疲れた頭で懸命にルートを探し、前進しました。

最後は夕立に打たれながら16時過ぎまで歩き、田代沢出合で幕営。

写真を撮り忘れましたが、平坦で広く、素晴らしい幕営地でした。

8月13日(晴れ)

最終4日目。

前日に続き、関の沢川を下降。

河原と発達したゴルジュが交互に現れる感じでした。

宇洞沢出合。

前日に滝の多いパートを消化しておいたおかげで、順調でした。

下流域の素晴らしいゴルジュ地形。

水が岩を削り続けた年月が感じられる空間でした。

と思ったら、直後に人工物が(何だよー)

そのまま下ると大井川に合流。

沢旅のゴールで記念撮影。

4日間お疲れさまでした!(完)

---おまけ---

遡行終了点からは大井川対岸の尾根を登り返し、車道に出て、接岨峡温泉駅から大井川鉄道に乗車しました。

使う人も稀な鉄道かと思いきや、観光列車として大賑わいでした。

4日間風呂に入っていない私たちは、隅の方で大人しく奥泉駅まで乗車。

最後は奥泉駅にデポした自転車で約8kmサイクリングし、入渓点へ。

車を回収して帰路につきましたとさ。

まとめ

大井:

ずっと行きたかった栗代川にやっと行くことができました。

若月とは以前より、栗代川を遡行して関の沢を下降するというルートについて話し合っていたので、今回実現できて感無量です!

過去の記録を見ると埋まってしまった?(渇水で水量が少なかった?)かもしれませんが、龍神の瀬戸の景色は圧巻で、地球の底を歩いているようでした。

また、気心知れた仲間と4日間も沢にいることができてたのは幸せな時間でした。

滝の登攀やゴルジュの突破だけでなく、沢での生活といった自然の中に身を置くことも沢登りの楽しさなのだと改めて思った山行でした。

こういう山行に付き合ってくれる若月には改めて感謝です。

若月:

栗代川と関の沢川は、深南部の沢としては記録が多く、残念ながら冒険性は乏しい。本山行も全く同じルートの山行記録が既にWebにあった。それでも、深南部ファンとして、大無間山のピークを踏む形でこの遡下降をやりたかった。過去の記録をなぞる形になったことは少し妥協だが、山深い深南部を満喫でき、充実の4日間だった。

次はオリジナリティーのあるルートで深山を旅できるよう、また地形図を眺めてみようと思う。

参考:

同じルートをやった別の山行記録

【山やへの扉】:南アルプス深南部大無間山「栗代川遡行~関ノ沢下降」①

山のにほひ、磯のかほり:南アルプス深南部、栗代川~大無間山~関ノ沢①

※同じ山行のメンバーが別々に書いた記録です

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