アルパインクライミング
若月 稜斗
山行概要
日時:2016年8月7日~14日
メンバー:若月(OB) ,大井(OB),堀(大学生), 菅原(大学生)
記録
8月のお盆連休を利用して、海外クライミングに行ってきましたので報告します。
行き先は、カナダBC州南東部に位置する山岳地帯「Bugaboo Provincial Park(以下、バガブー)」です。広大な氷河から、巨大な花崗岩の塔が天を突くようにそびえ立つ特異な景観から、北米のクライマーからは「カナダのパタゴニア」と称されることもあるほどです。
私は昨年の8月に初めてバガブーを訪れ、その厳しくも美しい世界にすっかり魅了されてしまいました。「今年も絶対に行きたい!」という強い思いから、半年以上前から「とにかく良い場所だから!」と山岳部のメンバーに猛プッシュ(笑)。4人のメンバーが集まり、今回のクライミング合宿が実現しました。
日本から各々飛行機で移動し、カナダ南部の大都市カルガリーに集合。
のんびり観光でもしたい所ですが、明日朝にはもう出発。
テキパキと買い出しと装備の準備を済ませました。
翌日はバガブーに向けてドライブ。
本当は車道沿いの景色も素晴らしいのですが、山火事の煙が流れてきているようで、どうにもスモーキー。
最後はダートで道を間違えてしまいましたが、何とか駐車場に到着。
小動物にタイヤをかじられないよう、バガブー名物の金網を巻いて出発。
クライミングギアと1週間分の食料を背負ってアプローチ。
景色が見えなかったのは残念でしたが、これはこれで海外ぽいかも?
3時間ほど歩いて、Kain Hut に到着。
奥に見えているのは"Snow Patch"という岩塔です。
Kain Hut で支払いを済ませ、この日はBoulder Camp で一泊しました。
翌朝は早めの5:30出発。
サクッとEast Creek Camp に到着して、あわよくば簡単なルートを一本登りたいところ。
最後はPigeon Spire 南部のコルからEast Creek Camp目指して下降しますが、これが悪かった。
一応ガイドブックに載っているアプローチ道なのですが、不安定なガレと長くて急な雪壁にかなり緊張させられました。
予想以上の時間を費やし、12時過ぎにキャンプ地に到着。
予想以上に苦戦ましたが、「アプローチから大冒険だったね」と皆の表情は明るく(笑)、しばらくランチタイム。
北米名物"Apple And Peanut Butter"
見ての通りリンゴにピーナッツクリームを一緒に食べるだけなんですが、これがなかなか美味しい。
その後、若月&大井組は北米最高とも言われるマルチピッチ"Beckey-Chouinard Route"を偵察。
菅原&堀組はPigeon Spire方面を偵察。
結果論ですが、East Creek Campへのアプローチは、Howzer TowerとPigeon Spireのコルから下降した方が、はるかに楽なことが分かりました。
翌朝。
若月/大井組は3:00出発でHowzer TowerのBeckey-Chouinard Routeへ。
菅原/堀組は5:00出発でPigeon Spire の West Ridgeへ。
Pigeon組は比較的手軽なルートなこともあり、順調に登攀。
一方のBeckey組は、登攀距離750m、全20ピッチ以上の長大なルートに大苦戦。
テントに戻ったのは夜11時過ぎ。
体力も限界に近く、菅原と堀が用意してくれた夕ご飯を食べて、そのまま死んだように眠りました。
翌日は若月と大井は前日の無理がたたってレスト、菅原/堀組はBugaboo Spire の Kain Route へ
Bugabooの名を冠する岩塔に登る、最も弱点を突いたルートです。
登攀自体は順調でしたが、この日は特にスモークが濃く、景色はイマイチでした(残念)
夜は夕食を食べながら作戦会議し、明日は全員でSnow Patchに行くことにしました。
翌朝は5時過ぎに出発。まずは Pigeon と Howzer のコルまで登り返し。
コルを超えると、Snow Patchの見事な大岩壁が見えました。
一歩近づくごとにワクワクが増していくようでした。
そんな期待とは裏腹に、取り付きに着いた途端に雨が…
1時間ほど岩の下で雨宿り。
雨が止んだので、登攀開始。
大井/菅原組はKingdom routeに、
若月/堀組はTobin Sorenson Routeに、それぞれ取り付きました。
Kingdom routeは傾斜の緩いリッジを辿る、比較的弱点を着いたルート。
順調に登攀して、大井/菅原組は午後1時半にはトップアウト。
一方のTobin Sorenson Routeは壁を真っ向から登る、攻撃的なルート。
各ピッチが難しく、大井と菅原が懸垂下降を終えるころ、若月/堀組もようやくトップアウト。
帰路で雨に降られましたが、この日は煙も晴れ、ようやくバガブーらしい景色が楽しめました!
全ての荷物を背負って、Howzer と Pigeon のコルへ登り返し。
この日も登る予定だったのですが、気温が低いうえ風も強く、とても素手でクライミングできるようなコンディションではなく…
クライミングは諦めて、Kain Hut まで下山しました。
やることもないので、余った食料でささやかなパーティを楽しみました。
最終日はのんびり出発して、景色を楽しみながら下山。
ここから切り替えて観光モード。
ちょっとした商店でバーガーを食べて、
Canmoreで外食。
一週間山奥に居た反動で、つい贅沢してしまいました。
まとめ
バガブー全域を通して一切電波は通じず、滞在は風呂も水道もないキャンプ場。運び上げられる食料は限られ、その貴重な食料すら小動物に狙われ続ける。アプローチを阻む氷河に、体温と手指の感覚を奪う寒風、そして何ピッチ登っても遥か上に見えるピーク…。同行してくれたメンバーも含め、そのあまりの山深さと桁違いのスケールを恨めしく思う瞬間もあったでしょう。それでも、カナダの大自然と痛いほど真正面から向き合ったこの1週間は、一生忘れられない体験となりました。
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