荒川前岳 荒川本谷

アルパインクライミング

平成9年理学部卒 真達 慶次郎

山行概要

日時:2025年12月29日~31日

メンバー:真達 慶次郎

行程:

  • 29日:小渋川林道自転車通行不可地点(7:40)→林道終点(9:20)→広河原小屋(11:40) その後、荒川本谷偵察
  • 30日:広河原小屋(5:25)→荒川前岳(11:40)→広河原小屋(16:50)
  • 31日:広河原小屋(6:45)→小渋川林道自転車通行不可地点(10:25)

概念図

記録

ここ何年か、年末は冬に登られた記録のない岩と氷の美しいラインを求めて南アルプスへ向かい、我ながら素晴らしい体験ができたと思っています。

でも今年は、課題のネタ切れ気味に加え、ここ数年一緒に登ってきた信頼できるパートナーが雪山卒業宣言をしてしまったこともあり、具体的な計画は無く、

「50も過ぎたし、この辺で冒険的な登山は控えようかなー」

「年末は久しぶりに家でゆっくりするかー」

などと考えていました。

それでも、冬の気配が感じられるようになると、山のことが気になり、GoogleEarthで3000m級の山々を眺めていたら、荒川三山の前岳ヘ向かって西から定規で引いたような一直線に突き上げる谷が目に留まりました。

初めは、

「美しいラインだけど、登りは単調かな?」

などと思いましたが、谷の下流に目をやると垂直近いと思われる大きな滝が3つ確認でき、

「もしこの辺の滝が凍れば、面白いラインになるのでは?」

と考え、山岳部OBのグループLineに情報を流してみましたが、誰からも反応はなし。。

そもそも一つ目の滝は標高1800m付近でちゃんと凍っているのか怪しく、それ以外にも凍っていない小滝やゴルジュ帯に苦労するかも・・と、冬のルートとして適しているのか、分からない状況でしたので、

「とりあえず1人で下見に行ってみるか。」

と、一応、アックスやスクリューなど登る準備はしつつ、半分、偵察気分で出発しました。

今回の秘密兵器その①「電チャリ」。

長い林道対策でコイツで行けるところまで行ってみる作戦でしたが、

5分くらいで通行止・・

秘密兵器②「ウェーダー(胴長)」

冬の沢に入っての渡渉は中々辛いので、自分から自分へのクリスマスプレゼントです。(笑)

トンネルの中が深い沼と化しており、沢に降りる前から活躍してくれました。

林道の終点から沢に降り立ち、

ここからは胴長が大活躍、

初めは渡渉のたびに履いたり脱いだりしていましたが、

そのうち面倒になり、ずっと履いたまま歩きました。

明日の目標の前岳。

今日の天気を明日に取っておいて欲しい。。

広河原小屋に到着し、荷物をデポ。

ひと休みして偵察へ出発。

GoogleEarthではっきり分かる滝は3つあり、その一つ目の滝まで見られればと思っていましたが、そこまでも小滝の連続。

それはそれで楽しいのですが、どれも氷結はいまいち。。

騙しだまし越えて行きました。

この滝の先が偵察目的の一つ目の滝でしたが、滝壺から氷が繋がっておらず、登ったら戻るのが大変そう。。

今日はここまでとしました。

戻るのも一苦労、

「明日はどうしよう?一つ目の滝だけ見て、たぶん氷結はいまいちだろうから、それで終わりかな・・」

などとしょんぼり戻りました。

小屋に戻ると三伏峠から縦走してきたと言う若い夫婦がいて、とても素敵なお二人で、聞けば学生時代は山岳部の後輩のケンケンと登山研修で仲良くなり、一緒に山へ行ったこともあるとか。

山の世界は狭いです。

今日で4日目で明日は帰るだけとのことで、ウイスキーやおつまみをいただきながら、楽しい夜を過ごさせてもらいました。

氷の状態が今一で、少し落ち込んでいましたが、元気が出て、

「明日はやるだけのことは、やってみよう!」

と思えるようになりました。

翌日。

お二人とお別れして出発。

偵察した小滝は暗いうちに越え、凍っていない滝壺もドライツーリングで突破し、昨日見られなかった一つ目の滝。

完全氷結はしていませんが、本流脇の薄い氷を使って騙しだまし登れそう。

途中にテラスもありそうだし、とフリーソロで取りつきました。

真ん中のテラスで。

本流の水しぶきを浴びながら突破しました。

続いて10mくらいの滝。

「どうぞ!」

と言わんばかりに真ん中が凍っています。

が、登ってみると抜け口で氷は途切れ、ゴーゴーと冷たい水が流れるツルツルのスラブ・・

もちろんフリーソロなので落ちられず、今回、一番の核心でした。

次の滝。

全く凍っていません・・

仕方ない、左から巻きました。

普通、登れば登るほど氷結かよくなるはずですが・・

この先が不安になりました。

そしてGoogleEarthで確認していた二つ目の滝。

不安が的中してしまい、氷はわずか・・

しばらく観察しますが、上部の核心っぽいところは全く氷がなく、しかも5分おきに、

「ドスン!」

と氷塊が落ちてきて、あれに当たったら、たまったもんじゃない。

それにしても、この標高で何で凍らないの?沢床から温泉でも湧いているのか??

ここまで登ると引き返すのは困難なので、巻いて登り続けることにします。

右か左か悩み、見た目は左。

でも地図だと右の方がよさそうで、自分の勘は信用できませんので右から。

少し戻ってガレ場を登ります。

最悪このまま稜線まで出るか?とも思いましたが、本流に戻れないか、様子を見に左へ行って崖を覗くと、

歩いて本流に戻れそうな感じ!

でも、歩いて戻るとそのままGooglEearthで確認していた3つ目の滝も巻くことになってしまい、懸垂で無理やり降りるか悩みましたが、そのまま巻くことに。

この滝は登れそうだったので残念。。

それにしても、こんなにちゃんと凍っているのに、そのすぐ下は何でダメだったんだろう??

やっぱりその間に温泉が湧いているに違いない!(笑)

この先も小滝の連続。

メインのうち2つは登れなかったですが、ずっと氷だらけ。

そろそろ満腹になってきました。(笑)

やがて氷はなくなり、ワカンを履いてひたすらルンゼを詰めます。

ずっとこの体制。

ふくらはぎパンパンです。。

やっとやっとやっと、ゴール!!

疲れました。。

標識、全く見えませんが、荒川三山の前岳です。

下りはホワイトアウトで何も見えず、西からの風も強烈。。

「勘弁してくれ・・」

と思いながら、コンパスを見て慎重に慎重に下りました。

2時間ほど耐えながら下っていると、うっすら太陽が!

そして目の前にドーンと大迫力の赤石岳が登場!

振り返って、前岳はまだガスの中。

でもすっかり視界が開けました。

稜線から離れ、下降する尾根を目指してトラバース開始。

視界が開けると安心です。

真っ白な雷鳥さん夫婦。

「晴れてよかったねー」

と語りかけます。(笑)

途中から、小屋で飲んだ夫婦のトレースに助けられながら、長い長い下降を続け、ギリギリ、ヘッデンを出さずに小屋に帰還!

木々の隙間から前岳。

我ながらよく頑張りました!

まとめ

今回は歩きだけではない登山を初めてソロでやってみて、一応、ロープソロの準備はしていきましたが、面倒なので結局使わず、全てフリーソロで登ってしまいました。

登っているときは、いつもよりアックスやアイゼンが刺さる感覚が敏感に感じられ、また強風の中のホワイトアウトでも、いつもより集中していた気がしています。

一方で、思い返すと、

「あの時、実は危なかったかも。。」

と思える場面がいくつかあり、またいつも以上にヘロヘロにバテて(来週で51です。。)、体力が衰えていく中で、こんな登山を1人で続けることの危険性も感じ、これからどうするか、考えさせられる登山でした。

と言うことで、山のパートナー募集中ですので、皆さまよろしくお願いします!

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